第1回ゲームマガジン新人賞 集結セヨ!新世代ゲームクリエイター!

総評

「第1回ゲームマガジン新人賞」にご応募いただき、ありがとうございました。
ゲームマガジン編集部の厳正な審査の下、今回は 「佳作二点」 「特別賞一点」の受賞を決定致しました。

今回、佳作となった二点については、既存のゲームのジャンルやUIの文法に乗らずに、自分の手で新しい世界を切り拓こうとしている点を高く評価しました。
応募されてきた作品には、RPGや脱出ゲーム、あるいは近年流行しているホラーゲームなどの人気ジャンルを意識した作品が数多くありました。こうした作品は、多くの先行作品が存在しているため、厳しく点数をつけさせていただきました。また、ジャンルの文法に乗っかることで、安易にストーリーや世界観を展開したり、ルールを説明不足のまま進めていく事例が散見され、その点でさらに厳しい点数をつけた作品も多くありました。

そもそもネットで作品を公開する際、宣伝力に乏しい多くのクリエイターにとって、流行のジャンルに乗ることは「ネットでの人気」を得る上でとても重要になります。しかし、「商業での人気」まで意識した場合には、既存のジャンルに乗っていることは必ずしも強みにはなりません。むしろ”周囲の空気を読まない”くらいの、強靱な「個性」の方がよほど強みになったりもします。
その点で、佳作に選んだ二作品は自分なりに新しい世界を切り拓こうとする意志が強く、安易なジャンルのカテゴライズを拒むものでした。彼らのその姿勢をまず高く評価しました。ただし、その一方で他の応募作と同様に「他者に自分の表現を伝える努力」が乏しかったり、「とりあえずゲームっぽいことをさせておく」という発想が見られたりしたのは残念でした。この点が大賞を与えられなかった理由となります。

ちなみに、佳作に選んだ作者はともに20歳と若かったのですが、特別賞を授与した作品は実に15年もの時間をかけて完成させた大作RPGでした。なにしろ作者は2001年に制作を志してから、その後も制作を進めて本作を完成させたとのこと。まさに執念の一作という内容でした。
ゲーム内容は2DRPGの王道演出をよく踏まえたものでしたが、ここまで述べた賞の方針により、佳作を与えることはできませんでした。しかし、作者の「ゲーム愛」に溢れたこの作品はインディーゲームの世界に広く知られるべきと考え、特別賞を授与させていただくことになりました。
この作品が多くの人の目に触れる一助となれば幸いです。

今回は若い世代の作る作品ほど、既存のコンシューマーやアーケードのゲームジャンルの発想から抜け出したものが多かったように思います。2Dゲームはまだまだ多くのことがやり残されているジャンルです。斬新なアイディアが詰め込まれた、若い皆さまの新作ゲームをお待ちしております。

(ゲームマガジン編集部)

結果発表

佳作
Whisper

講評

誰もがよく知るTwitterのUIで一気にゲームに引き込むことに成功しており、まずはその点を高く評価しました。システムに若干の粗っぽい点はあるものの、Twitterの構造を手際よく抽象化して、ゲームに昇華することに成功しています。

また、こういうパロディで難所になる元ネタの「再現」も、普段から人間観察を丁寧に行っていることが分かる素晴らしい出来映えの「つぶやき」になっていました。舞台は明らかに都内の某私立大学で、その大学を知る人間にはクスリと来る内容でありながら、誰もが楽しめるプロットとして仕上げてきた点も、バランス感覚が優れています。

ただ、大賞作品に推すには作品としての突破力に欠けており、良くも悪くも「センスのいい面白い作品」の範疇に収まっていると判断しました。非常にクレバーな知性を感じる作者ですので、ぜひその知力で単なる「面白い」を超えた先にある、多くの人を引き込むエンタメの魅力を追究していただければと思います。

佳作
しーくれっとばいばい

講評

ゲーム自体はオーソドックスな探索型ADVですが、立体的なマップ表現や音楽の演出などで、非常に高いセンスと新しい表現への意欲を感じました。RPGツクールMVでこのタイミングに本作をぶつけてきたことにも、面白さを感じます。

一方、キャラやストーリーの導入には難を感じました。特に展開については、突如として始まる主人公の探偵ごっこのような活動は、あまりに唐突です。自分が「表現したいこと」をいかにプレイヤーに「伝える」か――この点を意識しつつ、ストーリーをドリブンしていく魅力的なキャラクターを生み出していけば、大きな飛躍が望めるように思います。

特別賞
コンプレックスヒーロ

講評

2001年から制作を開始し、長い年月をかけて完成させたというのも頷ける超大作でした。

最盛期のスクウェアを思わせる雰囲気に、ツクールやドット絵を使いこなした演出は圧巻でした。その時代のゲームへの愛を、いわば「タイムカプセル」のように閉じ込めたこの作品をぜひ多くの人に知ってほしいと考え、特別賞を授与させていただきました。


(※各賞受賞者には、後ほど編集部よりご連絡を差し上げます。また、今回佳作の受賞作品を除き、応募いただいた作品については公開やその他のコンテストへの応募など、自由に展開していただいて構いません。今回は本当にありがとうございました。)

受賞賞金

大賞:20万円+副賞(Adobe Creative Cloud コンプリートプラン12ヶ月版)
佳作:副賞( Adobe Creative Cloud コンプリートプラン12ヶ月版)
特別賞:5万円
※各賞、審査員判断で「該当者なし」の場合もあります。

また、受賞者にはゲーム製作の支援と、発表の機会を提供します。

  • ・ゲームマガジンでの連載
  • ・ゲーム制作環境の支援
  • ・積極的なメディアミックスの支援

応募の際の注意点

※複数応募可です。ただし複数応募の時は、1作品ごとに送ってください。
※第三者の著者権その他の権利を侵害した作品(他の作品を模倣するなど)は応募が無効となる可能性があります。
※応募者には、応募作品が第三者の権利を侵害しないものであること及び応募作品に第三者の素材等を利用している場合は当該第三者から応募にかかる一切の権利許諾を受けているものであることを保証いただきます。 
※原則的に未発表の作品とは「公開されておらず、プレイヤーが遊ぶことができないもの」とします。

予めご承諾いただく事項

※選考部分に関する問い合わせにはお答えできません。
※受賞者の発表まで、応募して頂いた作品の発表や他社への売り込みは禁止致します。
※応募者は、受賞作品に関する各種権利 (応募作品の応募作品の上演、演奏、上映、送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含みます)、頒布、譲渡、貸与、翻訳、変形、脚色、映画化その他の翻案に関する権利を含む)についての優先交渉権を当社に付与するものとします
※受賞者のユーザーネーム、ゲーム概要を公表することがあります。
※応募者の個人情報は、本募集企画を実施する目的以外で利用いたしません。その他個人情報の取扱いについては利用規約の個人情報保護方針をご確認下さい。
※受賞に際してはインタビューなどのPR活動にご協力いただくこともあります。