シュヴァーベン革命軍

アルブレヒト・フリートラント

(シュヴァーベン革命軍大総統)

シュヴァーベン革命軍大総統にして、現代日本から迷いこみし迷い人。
大陸において、彼は、歴史転換の当事者として名をとどろかす。胸中にくゆらせたルサンチマンを、不公平と不正に対するいきどおりへ転化させ、革命の大義と。後世の人間が評していわく、『 正義をのぞむ怒りの声の代弁者』。革命的と評された戦列歩兵戦術を実戦でしめす軍才と、兵士の戦闘に立つ勇気は彼を大陸の主要な人物たらしめる。

ユニマール朝に対する大規模蜂起を指導し、卓抜した軍組織を編成した手腕はおおいに注目を集めるも、同時代人にとって、彼の出生はついに定かでなく、本人も言い残さなかったため、
歴史書が知るのは彼が表舞台に出てからの活躍にとどまった。

アルブレヒト・フリートラント

ヨハンナ・アートラント

(シュヴァーベン革命軍大法官)

名門アートラント伯爵家出身にして、シノール女子修道院で院長までつとめたほどの人物。ユニマール朝にいて、教育改革を主導した偉大な知性の保持者。しかし『啓蒙主義』をかかげた彼女は、『異端』として常に警戒され、全てを投げうち隠遁を選択する。

しかし、彼女の知性はそのまま朽ちることはなかった。アルブレヒト・フリートラントとの出会いによって武力と知性のたぐいまれなき連携によって革命を生みだしたのだ。人は、彼女を『革命の母』とよび、ある者は忌みきらい、ある者は尊崇する。しかし、彼女は『観察者』として……一歩どころか二歩も引いた立場でうれうばかりであった。

クリスティアン・ネッカー

(シュヴァーベン革命軍首席軍務官)

地方の名望家だったネッカー家の一員として、人々とユニマール朝の衝突を解決した、己の名誉と義務をおもんじる人間。彼は自他共に公平であることにつとめ、耐えがたい王朝の腐敗を目の当たりにしたとき、彼は激怒した。王政府が人々を守らないのであれば、人々自身の力で自衛するほかに無し。守るために武器を取った男は、だからこそ、人々の先頭に立ち不正義への闘争におもむく。信じるは、肩を並べる朋友。唾棄すべきは、名誉を知らぬ輩。

スキスマ

(シュヴァーベン革命軍首席内務官)

シュヴァーベンの地における策動の第一人者にして、謀略の鬼として知られる。冷徹な思考と、極端なまでの目的への拘泥をほこりつつも、どこまでも誠実。泥をかぶることもいとわない性格。そのため、スキスマという名前は軍にあって、ある種、能力に対する敬意と、手段に対する嫌悪の入り混じった奇妙なコントラストの象徴として知られている。過去を捨てた男は、地位と財産に背を向けて人々の中に飛びこんだのである。

スキスマ、という偽名のみが伝わる彼の出自はユニマール朝における高級官僚の一人と伝えられるも、詳細は定かではなく、本人も語ることはない。

ヴィルヘルム・オワヴァ

(革命軍騎兵少将→騎兵中将→大将)

若き騎兵将軍にして、随一の愛妻家。中流市民と変わらない最下級の騎士階級出身であるアマーリアとの結婚のため、オワヴァ伯爵家の継承権を放棄した。事実上の追放処分に甘んじるやいなや、妻と子供たちの食いぶちを稼ぐためだけに傭兵軍に身を投じて軍人として成功。

快闊な性格、生来の好漢ぶりからして部下にしたわれる中で、家族、戦友、仲間のために戦うクリスティアンの思想に強く共鳴。よりよい未来を信じ、その実現のために馬を駆けさせる彼の姿は勇者の中の勇者そのものであった。突撃に際しては、常に先頭にあり騎兵の理想を体現したと賞賛されながらも、妻への愛をはばからずに叫ぶことだけは同僚らの顰蹙(ひんしゅく)をいささかあびたと伝えられる。

アレクサンダー・ドゥーマス

(革命軍歩兵中将→革命軍元帥)

元奴隷出身のシュヴァーベン革命軍将校。ユニマール朝と革命軍の内戦時代、自領の奴隷を戦わせようとした貴族のもとから脱走し、抵抗運動を展開。後には革命軍に混じり、以後、アルブレヒトとともに歩んでいる。彼の心情は不正義に対する怒りと、弱き境遇にあるすべての人々に対する共感と思いやりと知られている。身分は奴隷出身であるも、その精神は貴族よりも高貴にして高潔とたたえられる人格者。

軍人としては、粘りづよく最後まで諦めない戦いぶりで知られ、指揮下の部隊とともに戦場に立つ。自由・博愛・平等の思想を胸中にいだき、人間として自由であるための闘争への献身ゆえに彼は銃を手に取り、戦い続ける。

エリーゼ・ユニマール

(革命軍歩兵少将→革命軍歩兵大将)

ユニマール王朝の傍系王族出身の軍人。幼い頃より、アートラントの薫陶(くんとう)をうけて育ち、ちょうじるに連れてその才覚を花開かせた才人。堅実な思考と、努力を惜しまない秀才肌の指揮官として知られる。王政時代にあっては、めずらしく善良な統治者として知られる。

彼女自身が政略結婚の駒であると同時に、生き残るために苦労を背負わざるを得ない出自と特異な経歴ゆえに、望まずとも否応なく諸外国の動向・事情に精通している。歴史書にいわく、死にかけたトビが、間違って産み落とした高貴なクロタカ。

ポーレット・マグドナルド

(革命軍砲兵少将→革命軍砲兵大将)

シュヴァーベン革命軍の砲兵将校にして、パラダイムシフトを誘発した砲兵革命の当事者の一人。もともとは、技術者として技量を発揮する場を求めていた職工であり、ユニマール朝の崩壊とシュヴァーベン革命軍の軍拡路線に遭遇することで活躍の場をえた。革命軍遊撃砲兵隊をして、銃兵と共同歩調をとらしめる根幹精神を提唱し、機動砲兵理論の第一人者として君臨する。

良くも悪くも、技術者として自分の仕事に矜持をいだいており、大砲の効果を発揮することを喜ぶ火力主義者。史書にいわく、最初の近代的総力戦主義者にして、道徳を技術の下位においた技術者。