連合王国

リンドス・ヴァルサ

(マルグレーテ朝国王)

マルグレーテ朝国王にして、貧しくも尚武の気風をほこる民と将兵に愛された北方の勇者。彼の不幸は、英邁さゆえに気づけてしまったことにあった。マルグレーテ朝が貧しい国土に見合わぬ莫大な軍事費こそが諸問題の根源であり、他方で強大な軍隊のみが貪欲な諸外国より貧しい大地を守る唯一無二の盾という建国以来の矛盾である、ということ。

栄光にいろどられた彼の軍隊は、早くも限界の兆候をしめしていた。なればこそ軍政官としても戦略家としても飛びぬけているリンドスの治世にあって、マルグレーテ朝の行動を決したのはリンドスの意志ではなく、国土の制約であったとすら語られる苦しい綱渡りを強いられ続ける。史書にいわく、茨(いばら)と石のなかに蒔かれてしまった偉大な種。

リンドス・ヴァルサ

自由都市同盟

フランツ・ダンドロ

(自由都市同盟『ドージェ』)

富と平和を守るために、強引な手段も辞さぬことで名高い自由都市同盟の元首(ドージェ)。指導者としては経済・外交を専門に扱うタイプとして知られ、軍事に関する全般は自由都市同盟軍の将官らにゆだねている。世評にいわく、三枚舌で戦う指導者。都市同盟ではめずらしくない貧乏商人の息子として生まれ、ちょうじるにつれて同盟に加盟する諸都市を船で巡りながら商人として成功。しかし、この繁栄と平和は世界の一面にすぎないという忠告を振り切り内陸部へ事業を拡大しようとしたとき、彼の運命は転機を向かえた。餓えて自棄を起こした村人の襲撃により、親友と家族をうしなったのだ。
以来、彼は世界を都市の内側と外側にわけて思考していると伝えられる。

フランツ・ダンドロ

大草原

ウルリヒ

(オスト=スラヴィア大公国 公王)

オスト=スラヴィア大公国の傀儡(かいらい)として擁立された若き餓狼(がろう))。力なきものには、大草原の過酷な自然は無慈悲きわまりない。皇位すら称しうる公王一族の生まれとて、強きものだけがこの広漠たる大地をすべるというおきてを前に例外はなかった。両親と兄姉を宮中の陰謀でうしなったウルリヒは、乳母に手を引かれて都市同盟へと逃げのびた。ささやかな平穏を手に入れるウルリヒだが、生存を知った『大草原』の貴族らの強欲さが彼を傀儡のにえとして首都に呼び戻す。……その乳母が『誘拐犯』として処刑された瞬間に誰からも愛されていた優しいウルリヒは人の心を投げすてた。彼は泣くことも許されない刑場で一人、孤独に誓った。

史書にいわく、復讐者。

ウルリヒ

その他

ターニャ・フォン・デグレチャフ

(帝国魔導軍中佐)

ライン戦線で穴掘りごっこに明け暮れ、ノルデンでは雪合戦を潜り抜け、東部の泥濘で泥ダンゴを拵えながら遊んでいた何かです。不幸な手違いによりに召喚されてしまいました。

個体戦闘能力もさることながら、部隊指揮や作戦次元での大胆な兵力運用など戦術指揮官としての才覚を発揮する戦闘に最適化された傭兵です。魔法使いの運用に関するブレイクスルー理論を多数提示し、アカデミーの破壊魔導士達の熱い視線を集めるといえば、その有用性と、潜在的な危険性は余りにも明らかです。

なお本人の自己申告としては、百戦錬磨の古参兵というよりも市場原理に忠実すぎるほど忠実なシカゴ学派の信徒とのこと。意味がよく分かりませんが。

ターニャ・フォン・デグレチャフ